結局出版—本年最後の吉報という、滝の如く溢れ出る涙—

本当に以て、己は主人から手渡された一通のペーパーを、薄氷を踏むような考えで開いて読み始めた。

拝啓
時下これからご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、先日は弊社入社努力にご応募いただきとっても有難う。
公正なる文書セレクトの結果、是非ともエンディング面会にお越しいただきたく、下記の街路ご広告申し上げます。
(下概略)

敬具

じわりじわりって、限界がぼやけ、書面が霞んで見えなくなって出向く。
失意から生まれたほんの僅かな希望の芽だった。してそこには今までのような「不」とか「否」といった物騒な頭文字は何処を見渡しても存在しない。
再びそれ以上は掴む不可欠がなかった。
「ビックリ?」
主人のそういう囁きかけの前に己は涙を控えることができなくなった。
それはもっと、次から次へと滝の如く溢れ出ては、滴り落ちていく。
「なんとなく、ごめん」
己は既にそう言うのが精一杯だった。そうしてかつての元彼女N・Aとあのとおり一線を越えてしまっていたらというとどんどん居た堪れない気持ちになった。
ぎりぎりのところで踏み止まって正解だった。
一頻り、己は主人の吉報を相当自分のときのように喜んだ。